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犬と平和に暮らす自営業者のブログ

判決、ふたつの希望

判決、ふたつの希望」を見てきました。

longride.jp

都内など日比谷シャンテしか上映してないんですね。

普段は六本木のTOHOシネマズしか行かないのですが、シャンテは平日の昼間にも関わらずお客さんが多く(半分近く埋まってたように思います)驚きました(ほとんど年寄りですが)。年寄りを悪く言うつもりはないんですが、なんであんなにうるさいんでしょうね。映画始まる前とは言えもう少し静かにして欲しいです。

 

さて、レバノンを舞台としたこの映画ですがトニーというレバノンキリスト教徒とパレスチナ難民のナセルの些細な喧嘩がレバノンの過去の内戦・宗教対立を炙り出し大騒動に発展していくという物語です。

レバノンというと中東の国で中東といえばイスラエルを除いてイスラム国家の多いイメージがあるかもしれませんが、レバノンって55%がイスラム教徒でキリスト教徒も40%くらいいるんですね(Wikipedia調べ)。

 

トニーは妊娠している奥さんと一緒に最近購入した家に住んでいる自動車の修理工場を営む保守的な頑固者で、ナセルは工事現場の監督(不法就労だけど)の真面目なおじさんです。

ナセルの働く会社がトニーの家の辺りの違法建築を修理する工事を一括して担っており順番に修理していたところ、トニーの家のベランダからナセルの頭に水が流れてきます。違法建築のベランダを修理したいのでベランダに上がらせてくれとナセルがトニーに頼みますが、パレスチナ人嫌いのトニーは家に入れず無愛想に断ります。ナセルが勝手に排水管を修理していたところ、それを見たトニーが激怒し付けたばかりの排水管を叩き壊してしまいます。それに腹を立てたナセルは普段は温厚ですがカッとなりつい「クソ野郎」と罵倒してしまいます。

嫌いなパレスチナ人に罵倒されたトニーは怒り心頭、金はいらんが謝罪がなければ告訴すると工事の会社に詰め寄ります。ナセルの上司はレバノンキリスト教徒vsパレスチナ人という争いが大事になる前に丸く収めたいと思い、ナセルに謝るよう説得します。最初は拒んでいたナセルですが、仕方なく上司と一緒にトニーの工場を訪れます。

謝ろうと思っていたナセル、しかし、なかなか言葉で出てきません。それを見たトニーが悪態をつき、最後に絶対に言ってはいけない言葉を口にしてしまいます。

シャロンに抹殺されればよかったのに」

シャロンとはイスラエルの元首相でパレスチナに対する強行な姿勢で有名

これにブチ切れたナセルはトニーに一発かまし、肋骨を折ってしまう。

 

ここから騒動は裁判へ、そして裁判の中で様々な過去や市民を扇動するような発言を巡り国を分断しかねる事態へと発展していきます。

表面上は些細な出来事ですが二人の心の奥には相手の民族に対する深い恨みが潜んでいてそれが市民(と難民)の気持ちを代弁するような形で表面化してしまったのですね。

最初どう見てもトニーが悪いじゃねーかと思うんですが、トニーも子供の頃にパレスチナの軍族に故郷を追われた過去があり、パレスチナ人とどうしても仲良くなれず冷たく接してしまうんですね。

物語の最後は外野が盛り上がってる一方で、トニーとナセルは裁判外で和解(法律上の和解ではなく仲直りの類)し、判決もナセル無罪で終了します。

 

この映画ほどではないですが、我々も民族や宗教に対する一方的なイメージってありますよね。

日本に観光に来る中国人があまりマナーをわきまえないから中国人が嫌いとか、ちょっと気の良いアメリカ人と友達になったくらいで欧米人は陽気で良いとか。

僕は仕事柄いろんな国の人と日々接するのですが、確かにある程度国民性とか民族性みたいなものはあるんですが(この辺はまた詳しく書きたいです)、結構個体差があって一概に中国人はこうで、アメリカ人はこうとは言えない。当然ですが。

なので接する方としては十人十色で接し、振る舞い方としては自分の振る舞いが日本人のイメージに影響する可能性を考えて行動したいですね。